トロルを妻にした男 採集地:ノルウェー
「世界の民話3 北欧 "トロルを妻にすると…"」より
 リア充大爆発しろシリーズ。

 原版は近世以降のもので「竜騎兵」や「ピストル」と言った言葉が出てきます。Ringlet版はそういった言葉を廃して中世に戻したほか、表現的にも若干修正を加えています。原版では魔法が解けたトロルの娘はハッキリ「醜かった」と描かれていますし、回復した後も完全には戻らず「いくらか見られるようになった。鼻は半分くらいの大きさになり、みにくい雌牛の尻尾はたくし上げられた。しかし美しくはなかった。美しいなんて言ったら、嘘つきということになるだろう」などと描写されています。
 また、後半部分にも美しく戻りきれなかった妻に対するDVが「しかし、妻は醜くて、いつまでたっても変わらなかった。それで彼は心の底から妻を嫌っていた。だから、時々は怒って妻を殴りつけることも無いではなかった」と明記されています。

 このストーリーではトロルは雌牛の尻尾を持った亜人で、おそらく様々な種類の魔法を扱うことが出来る存在として描かれています。体躯は大柄ではないものの、非常な怪力を持つことも解ります。しかし、その性格はなんとも温和で、娘に斬りかかった主人公を豪気だと気に入ったりDVにも黙って耐えていたりと、(原版の通り)新しい時代の妖精像が色濃く見えます。

 なお、作中の「皿が回る」とは、結婚式の客達の間に皿を回して、祝儀をその上にのせる習慣のことを指すそうです。
  この話ではトロルは雌牛の尻尾を持っていると書かれています。牛によって尻尾にも個性がありますが、今回はノルウェーレッド種(Norwegian Red)の尻尾にしてもらいました。この種は近代の品種改良の産物なので、中世にご先祖様がいたかどうかはわかりません。
 蹄鉄を素手で曲げるほどのパワーを持ちながら反撃の素振りも見せない優しさに、剣の一撃を受けているのに大したダメージを負っていないタフネスと、トロルの聖人かつ超人ぷりはなかなかのものです。
 なお、デザインでは尻尾を出す切れ込みを入れてもらいましたが、現在のミニスカート、タイトスカートならいざしらず、中世のゆったりとしたロングスカートでは中にしまったままでもそれほど窮屈ではなかったと思います。(TINA)

 今回は人外と結婚をしたお話でした。普段は美しい娘だけれど正体はトロルで老女の姿になったり怪力だったりと怖い存在です。
 しかし、いきなり民家に押し入りお婆さんを倒そうとしたり無理やり娘を連れ去ろうとしたり主人公の男も十分に恐ろしいと思うのです。
 こんな二人だからこそ幸せになれたのか。
 今回の衣装は金具のところにアクセサリーが繋がっているのが特徴です。
 挿絵では分かりづらいですが尾はスカートのスリットから出ています。
 穴を開けるよりおしゃれです。(市九紫)