夜を閉じこめた箱 採集地:フランス
「フランスのむかし話 "かごにはいった夜"」より
「フランスの民話 下 "黒猫、あるいは籠の中の夜"」
 猫シリーズ。

 どちらも同じ原典ですが、上は児童書、下は完訳版ということでかなり内容の詳細は異なります。Ringlet版は児童書版を元に完訳版に記載された細部をいくらか足した上で、全体的にストーリーを短く切りつめてあります。

 実際の歴史では、猫は中世においても決して珍しい動物ではなく身近な存在でした。それ故に猫を主役に据えたFairytaleはいくつも存在します。(もっとも有名なのは「長靴をはいた猫」でしょうか)

 このストーリーでは最初は白猫だったのが途中から黒猫に変わります。Ringlet版では省略されましたが、原文では「ちゃんとしたキリスト教徒は、魔法使いみたいに黒ネコなど飼っているもんじゃないよ。ネコは悪魔のいとこだっていうからね」という台詞があるように、フランスでは白猫は幸運の印、黒猫は不吉を運んでくると考えられていたようです。(「猫のフォークロア」より)それを踏まえれば、この話は幸運を運んでくれる白猫が不吉の象徴である黒猫になることで少女に幸運をもたらす逆説的ストーリーと読むことも出来るでしょう。

 その他、原版では主人公が金貨を欲しがる動機が結婚の持参金として金貨百枚をもってこいと言われたからですが、今回のストーリーでは恋愛話は主ではないので削除しました。また、オリジナルでは宴会で酔った貴族が「かごに入った夜を持ってこい」と言います。Ringlet版ではかごではなく箱に変更しましたが、特に大きな意味はありません。

 全体的に見ればFairytale的要素は白猫が黒猫になった部分だけで、機転を利かせた頓知話の類に分類できます。なお、お手伝い役は小雪姫につづいて久紀にやってもらいました。



 頭の回転が速い村娘ミミ。服装は結婚式に参加した晴れ着で、帯がお洒落。当時、こんなリボンつけた髪型ってあったのかな…。(TINA)

 素朴な田舎の女の子です。資料を見てて2重折り返しの袖を描きたくなり、こんなデザインにしてみました。頭のリボンはネコミミっぽく。気合を入れて猫を描きました。ねこねこねこ!(かずしま)