聞かせる話のない男 採集地:アイルランド
「アイルランドの民話 "聞かせる話のない男の話"」より
 シンプルでよく完成されたストーリーです。Ringlet版では若干残酷な描写部分を改変したのみで、ほとんどオリジナルのまま収録しました。伝統的禁忌を破るパターンとRule of Threeがストーリーの柱ですが、面白いのは教訓や機知に富んだやりとりという、Fairytaleによくある要素がいっさい無い点です。これは純粋に話を語るためにある話だからでしょう。

 ヴァイオリンを演奏して欲しい、というシーンがありましたが、ヴァイオリンは16世紀に完成したとされる比較的新しい楽器なので、Ringlet版ではより古いリュートに変更しています。

 ストーリーの中で主人公は「フィニュア騎士団の話」と言う言葉を口にしていますが、これは原版では「フィアナ(Fianna)」というアイルランド神話に登場する騎士団(Warrior Bands)で、アイルランドでその物語を知らない者はいない、フィアナ騎士団の物語を知らぬ者はアイルランド人ではないと言われるほどです。(イギリスで言うアーサー王伝説と同じようなものでしょうか)日本での知名度は高いとはいえませんが、書籍などはそれなりに目にすることができます。



 夢のなかの妖精エルセ。原版でも特に細かい描写がないので好きにデザインしてもらいました。細かい編み込みの予定だったんですが後ろ姿は見られず…。トンボのアクセサリや服の模様はアール・ヌーヴォー風を意識してもらいました。CG版では一部を三つ葉のクローバーに変更してもらっていますが、これはシャムロックと言ってアイルランドの象徴です。(TINA)

 妖精さんverエルセです。自由にデザインしていい、ということで悩みましたがTINAさんとアイデアを出し合いつつまとめました。妖精さんとはいえあんまりファンタジーファンタジーするのもRtFTになじまないかなーと思い、基本的には時代に合った服装にしました。そこからながーい編込みヘアー、虫や植物のアクセサリ、非対称な模様・髪型などで非現実感を出そうとしています。一見普通の人間だけどちょっと違和感があるなぁ…、位に感じてもらえれば幸いです。実は最初はボッティチェリの春に描かれている服装をイメージしていました。アクセサリや服の模様などに少し名残があるかも。(かずしま)