父の言伝 採集地:フランス
「エプタメロン "富者の遺言"」より
 まず、「エプタメロン(Heptaméron/七日物語)」というあまり聞き慣れない本について少し解説しておきます。これはフランス王フランソワ1世の実姉であるマルグリット・ド・ナヴァル(Marguerite de Navarre, 1492-1549)という方が執筆した本で、それより150年ほど前のイタリア人、ジョヴァンニ・ボッカッチョ(Giovanni Boccacio, 1313-1375)が書いた「デカメロン(十日物語)」のフランス版を目指して作成されたと言われています。72話を書き終えたところで作者のマルグリットが他界してしまったため、永遠の未完成作となりました。
 デカメロンを目指しただけあって妖精や魔法使いが登場するストーリーはなく、当時の騎士道精神、キリスト教(カトリック)への強い帰依の心、王侯貴族や神父たちのスキャンダル(不倫した、不倫された、謀殺した等々)がメインになっています。その意味で、エプタメロンはFairytaleという趣旨からはやや外れています。同世代には「Cent Nouvelles nouvelles(新百話)」という似た本もあり、ブームだったのかもしれません。

 元々はタイトルにあるとおり、遺言として馬を売ったお金を教会に寄進して欲しいというストーリーです。Ringlet版では特に遺言という形を取っていないので、その分重みがないと言えるでしょう。エプタメロンは全編に渡って信仰心が試されている本なので、当然この行動も賛否両論に語られています。頓知を利かせた娘を称賛する声がある一方で、遺言をないがしろにしてお金を袖にした娘を非難する人もいます。TINA個人の感想としては、当時はルターの宗教改革の真っ最中であり、教会(カトリック)に疑いの目が向けられていた時代だけに、マルグリット本人はこの娘の行動を肯定的に描いたような気がします。



 ぼうっとしてるようですが、なかなか才女なロール。お金持ちということで、アクセサリをしていたり、装飾の多い服を着用しています。(TINA)

 金持ちなので服に襟やレースをつけよ、とのTINAさんのお言葉があったような気がします。このころ、エルセの髪型をどうやって描いたらいいのかわからなかったなぁ。もみあげと後髪のバランスとか。(かずしま)