まぼろしの 採集地:イギリス(スコットランド)
「人魚と結婚した男-オークニー諸島民話集- "見えざる島"」より
 人魚シリーズ。 

 オークニー諸島は英国の北部にある諸島で、さらに北のシェトランド諸島と並んで北欧色の強い独自の文化を残している島です。Fairytaleも独特のものが多く、中でもこのストーリーには三つの重要なキーワード、フィンフォーク(Finfolk)ヒルダランド(Hildaland)トロウ(Trow)が並んで登場します。

 Finfolk(あるいはFinnfolk)は人魚の一種ですが、参考文献では「ひれ人間」と訳されています。(Ringlet版ではそのままフィンフォークとしました)その名前の通り、全身にひれのようなものが付いていますが、彼らは魔術を使って人の目には見えないようにしていると言われています。セルキー(Selkie。人魚の一種)のようだとあったり、ローン(Roane。アザラシの皮を被った人間)に近いとされていたりしますが、これらはごく近い地域、アイルランド、スコットランド、ウェールズ、イングランド、北欧諸国の伝承が混ざり合った結果で、実際にFinfolkと聞いて想像する姿は人によってまちまちです。(Ringlet版ではもっとも一般化された人魚という形を取っています)彼らは海中にあるフィンフォーカヘーム(Finfolkaheem。Finfolk's Homeの転化)と魔法の力で守られたヒルダランド(Hildaland。Hidden Landの転化)に住んでいるとされていました。
 トロウ(Trow)トロル(Troll)のオークニーおよびシェトランドでの呼び名で、一般的な性格は他と大差ありません。

 アニーが「嫌な言葉を聞いた」と言っていますが、悪態や悪口に強い不快感を示すのは主に善良な妖精に見られる共通した特徴です。(ただ、この時の言葉がそれほど悪いものだとは思えませんが)また、「水よりも血が濃くなかったら〜(If Blood is not thicker than water.)」という台詞は「血縁は他人との関係よりも結びつき(縁)が強い」という意味の慣用表現です。

 Ringlet版は原版ほぼそのままの形で収録されています。フィンフォークが持つ魔術と銀貨が大好きという特性、それに桃源郷としてのヒルダランドをあますところなく伝えていると思います。細かい変更点は最後にフィンフォークと船長がカードゲームをして遊ぶシーンで、原版ではトランプとなっているところをカードと変更したくらいです。(今日の私たちがプレイするタイプのトランプとは違った形だったと考えられるので)



 さっぱりした性格のアニー。第二稿。船乗りでロングスカートは動きにくいということで縛ってあります。海賊っぽい。(TINA)

 アニー1ではタイツをはいていたのです。が、時代的におかしいということで生足に変更。生足のほうが見栄えもいいしね! よくみると髪はロングになってます。(かずしま)