謎掛け姫と大盗賊 採集地:オーストリア(前半部分のみ)
「オーストリアの昔話 "ずる賢い盗賊"」より(前半部分)
 リア充大爆発しろシリーズ。
 元々は二つ以上のストーリーを一つまとめたので、採集地に注釈がついています。

 盗賊として生業を立てた主人公が王様の前に立つまでが前半部分です。本当はRule of Three通りに三回失敗するのですが、端折って二回にしてあります。また、原版では残虐な描写を含むシーンがありますがRinglet版では当然削除されました。内容は捕まった盗賊団の頭が目を抉られて不具にされたというものですが、少なくとも中世においてはそれほど珍しいことではなかったと言えます。(「スイス民話集成」より)

 後半部分は問答話をまとめて一つにしてみました。よくあるパターンは全問正解出来たら娘と結婚、答えられなかったら死刑というものです。問いを出すのは過保護な父親(主に王様)の場合と(結婚したくないので)本人の場合があります。もう一つのパターンは、権力者がたまたま虫の居所が悪く、謎々を出して部下を困らせる(これも解けなかったら死刑なのですが)というものです。前者はまだしも、後者は回答者側にとってはなんの得もないわけですから、迷惑な話と言えるでしょう。Ringlet版では前者の形式を採用しています。

 問答はどの国のFairytaleにも共通するものから独特のものまであります。これもだいたいはRule of Threeの伝統通り三問正解でクリアなのですが、Ringlet版では問いを紹介するために増やしました。以下は問いの出典です。

 「空に星はどれくらいあるか」と「地球の中心はどこか?」は欧州各地より。「全ての国に住み、全ての人を友人としているけれど、自分と同じ力を持つものの存在に耐えられないのは?」は「ペルシアの昔話」「カラフ王子とトゥランドー王女の物語」より。「三頭の馬を早く生まれた順に並べよ」は「ハンガリー民話集」「夢見る若者」より。「線を短くせよ」は「インドの民話」「アクバルとビルバル」より。

 Ringlet版では宗教的描写をカットする編集方針のもとで、面白いけれど削除された問いがあります。例えば「わしの価値はどれほどか?(How much money am I worth?)」という問いに「ユダは銀貨三十枚でイエス様を売りました。王様とて、イエス様にはわずかにおよばないでしょうから、銀貨二十九枚の価値があるとお見受けいたします」(Judas sold Christ for thirty pieces of silver. You are worth almost as much as Christ. You are worth 29 pieces of silver.)という問答は残念ながら削除されています。

 同じくキリストに関するものとして「空まではどれくらいあるか?」に対する「主は御一緒に処刑された盗賊に『今日のうちにそなたは天国の私の元に来られるだろう』と申されました。なので、一日しかかかりません」というものもあります。

 ルーマニア版では全てがキリスト教関連の問いで占められています。この話ではなぞかけと言うより、知識を問うものになっています。

「この世の一番初めの死人といえば?」→「アダムの息子、アベルです」
「ノアの箱舟に乗っていなかった動物は?」→「魚です」
「人類の四分の一が死んだのはいつ?」→「カインが弟のアベルを殺した時です」

 オーストリアの「王様の花嫁」でもキリスト教色が強く、「神はいつ最大の奇跡を成し遂げ給うたか?」、「神の全能より大きいものは何か?」という問いになっています。

 アラブ圏では「アラブの民話」「大臣の利口な娘」という問答話が載っています。ところが変われば問答も変わるもので、ここでの問いは「あらゆる意志の中で最も貴重なのはなにか」、「あらゆる音の中でもっとも甘美なのはどんな音か」、「神(アッラー)に次いで我らを養っているのはなにか」となっています。答えはそれぞれ「道のりを示す標石」、「お祈りの呼びかけ」、「水」と、砂漠での生活を反映したものになっています。



 なぞなぞ姫エーリカ。勝気な性格で、やられっぱなしでは納得いかず、わざわざ主人公の鼻を一度折ってから負けを認めるというプライドの高い王女でもあります。服は15世紀のドイツ宮廷衣装を元にしてもらいました。だぶだぶローブが流行っていたみたいですね。CG版ではたすき(?)を無くしてもらいました。(TINA)

 勝気系お姫様ですね。エルセ本来の髪型から大きく変えたので一瞬誰かわからないかも。ただお姫様感は出てると思うので気に入ってます。服装に関してはなかなか資料が少なく割と苦労しました…。スカート部分はこれでもか! というくらい布をたっぷり使っているという設定。すんごく歩きづらそう。ちなみにCG版背景の絵は奈緒さんです。(かずしま)