| ふたりの知恵者 | 採集地:ナイジェリア |
| 「ハウサの昔話 "カノの知恵者とボルヌの知恵者"」より | |
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オリジナルに登場するカノもボルヌも現在のナイジェリアの地名なので採集地はナイジェリアとしましたが、国よりはハウサ人という民族で括った方が良いと思わます。 ハウサ人は西アフリカ内陸部に居住しハウサ語を母語とする民族集団で、現在3000万人強居ると言われています。13-14世紀にハウサ諸王国と呼ばれる小規模な連合国家を建設し、長らく続いたことで知られています。19世紀に王国は滅亡しますが、その後に書かれたハウサ人の伝説を多分に含む歴史書「カノ年代記」で、彼らの栄光の歴史を知ることが出来ます。また、この「カノ年代記」のカノはタイトルに登場する都市カノであり、古くから中心的存在として栄えていたことがうかがえます。 ハウサ人の伝承(おそらく前述の「カノ年代記」)によれば、ボルヌ地方(チャド湖の西側)からハウサランドにやってきた伝説の英雄バヤジダがダウラの街の井戸に巣食っていたサリキーという大蛇を退治して街の女王と結婚し、生まれた子供がハウサの始祖とされていて、初代カノ王バガウダー(バヤジダの孫)は西暦999年に即位したとされています。(※実際の歴史ではハウサの諸国家はもう少し後年、1000年以降に建国されたようです) 原版では名前も性別もわからないふたりの知恵者が、何回も立場を逆転させながら最終的には引き分けるというもので、明らかにムスリムと解るセリフがあります。Ringlet版ではその部分をカットした上で片方の知恵者を女性として描いていますが、大方のストーリーはオリジナルのままにしました。 なかなかブラックユーモアにあふれた話でもあります。 荷をすべて盗られた隊商はまだいい方で、石を投げ込んだ知恵者は明らかに殺す意図をもっていると考えられます。 それでも最後まで互いを兄弟と呼び、荷を分け合ったあとも連れだって旅を続けたという終わり方は、この後の展開を想像して苦笑せずにはいられないでしょう。 ハウサの昔話は語り手の独特な締め方、「ネズミの頭はもう終わり」という言葉で終わらせることが文献に書かれていますが、これがハウサ語的になにかの意味を持つのかどうかは解りません。 |
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ガチ殺害を試みる危険なキャラクターですが、デザインはごく普通の女性になりました。 街から街へ移動する程度なら、このくらいの格好でも大丈夫だったのかな…と。(TINA) アフリカ編ということで、今までとは大きく雰囲気が変わりましたが、 挿絵は、エルセちゃんはきっとこの新しい雰囲気を大いに楽しむんじゃないかな、と思って描きました。(宣教師ゴンドルフ) |
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