| リーズバラの妖精騎士 | 採集地:イギリス(イングランド、スコットランド) |
| 「"The Elfin
Knight"」より 「"Scarborough Fair"」より |
|
|
リア充大爆発しろシリーズ。
現代ではバラードとして有名なScarborough Fairですが、その成り立ちはFairy Taleの持つ柔軟性を解説するための教科書とも言うべき経過をたどっています。Ringlet版は後述の1891年版をベースにして最終的に結ばれるというオリジナルストーリーにしました。全体としてはグリゼルダに近い構成になっています。 今日Scarborough Fairとして定着しているこの詩は、元々はScarboroughとは無関係な場所から生まれたようです。原文は1610年頃か、それ以前に成立したとされる"The Elfin Knight"と言われる詩で、妖精の騎士が娘に対して出した難題を綴ったもので、一説によれば浮気(不倫)を歌っているとされています。この最初期ヴァージョンには印象的な「Parsley, sage, rosemary and thyme」の言葉は登場しません。 現代のScarborough Fairに行く形を取るようになったヴァージョンは1891年に記録されていますので、歌としてはこれより前に成立していたことになります。この間は280年近い年月があるので、どこがどうなってこの形に落ち着いたのかは想像するしかありませんが、妖精の騎士と娘の話は恋人の話になり、騎士が一方的に出していた無理難題は二人が交互に出し合う形に変化しました。この辺りは「オレガノの鉢」にみられるような積み上げ話の影響と考えられます。 さらに時代は下り、Simon and Garfunkelが「Scarborough Fair」として発表したことで今日まで有名なストーリーとして多くの人の知るところとなっています。Simon and Garfunkel版は詩よりも歌としての形を優先したものなので、ここでは上記の1891年版を転載しておきます。 1 'Is any of you going to Scarborough Fair? 細かい翻訳は省略するとして、2-5は女性が(Tell him〜、つまり、“彼”に伝えて)、7-10は男性が(同じくTell her〜と言っているので)語りかけています。また、この版では「Parsley, sage, rosemary and thyme」は相変わらず出てきませんが、同時期の記録では「2-30年ほど前(つまり、1860-70年頃)から歌われている」とされる別バージョンとして下記の版も記録されています。 1 'O, where are you going?' 'To Scarborough fair,' ここではParsleyではなくSavouryになっていますが、Scarborough fairへ行く点と、四種のハーブが出てくる点で現代にかなり近いバージョンになっています。また、この四種のハーブについても様々に議論されていますが、Ringlet版では魔よけ説を採用しました。 |
|
![]() |
|
ハーブの研究は修道院などではかなり早くから行われていましたが、中世の医学は基本的にかなり疑わしいものでした。服装は標準的な庶民服ですが、足元がサンダルになっています。中世の靴は靴底に硬いものをあてるという習慣がなく、スリッパに近いものでした。その点サンダルは硬い木でも容易に成形できますし、場面によってはかなり重宝したのではないでしょうか。(TINA) 久々の可愛い女子系の制作になりました今作ですが、時代物が好きな割には造詣についてはあまり深くなかったが故に、何気なく描いていた装飾品などが時代によってはあったりなかったりと様々なことが勉強になりました。 普段はカラーでの制作が主なのですが、白黒でも見劣りがないようにがんばりました。 女の子の思いが伝わるようなイラストに仕上がっていれば嬉しい限りです。 (こたん2号) |