キュエリの人魚 採集地:イギリス(イングランド)
「妖精 Who's who "キュアリーの年寄り"」より
「妖精の国の住人 "キュアリーの老人"」より
 人魚シリーズ。

 二つとも同じ原文の邦訳だと思われ、99%同じ話ですが細部が少しだけ異なります。(特に最後の一文が大きく違います)原文では人魚を助けたのは年の行った、世間の物事がよくわかっていて欲のない老人(職業は漁師)であり、助けたお礼に人魚が与えたのは病気を治す力、呪いをうち消す力、盗まれた物を見つけだす力の三つですが、Ringlet版ではシンプルに変更しました。一方で、男人魚(マーマン)の描写を追加するためストーリー部分はかなり加筆しました。

 原版のキュアリー(Cury)は英国南部コーンウォール(Cornwall)リザード岬(Lizard Point)の近くだそうです。地図によると緯度49.969036、経度-5.203664付近にLizardという地名があり、その南にリザード岬があります。また、キュアリーは緯度50.088054、経度-5.204487に存在します。

 西洋の人魚はギリシア神話のセイレーン(英:Siren)に起源を見ることが出来るでしょう。元々のセイレーンは上半身は人間、下半身は鳥の姿をした生物でしたが、海に住み、歌声で船員たちを幻惑させるという特徴が人魚に受け継がれ、後世ではセイレーン=人魚というイメージになりました。ギリシア=ラテン語の血を引く各ヨーロッパ語ではラテン語のシーレーン(Siren)に近い言葉は軒並み人魚かセイレーンに関する言葉になっています。

 人魚は現代でも人気のあるFairyの一種ですが、これは後世、特にアンデルセン(Hans Christian Andersen)「人魚姫」のイメージに寄るところが大きいと考えられます。Fairytaleに登場する人魚は男女問わず人間と敵対する場合が多く、また、不思議な力を持っていますので、万一人魚と遭遇した場合は素直に逃げた方がいいでしょう。生息場所も海に限らず、川や湖、大きな池など、水がある場所ならどこにでも姿を現すとされています。外見は女人魚(マーメイド)が美しい、または可愛らしい外見であるのに対して男人魚(マーマン)の方は醜く、粗野であるという点はある程度共通認識のようです。現代では魚と同じく一つの尾ひれだけを持つタイプが多いですが、昔の絵には足と同じように二つの尾ひれをもつものもあります。

 一般的に西洋の人魚は人間を水に引きずり込んで溺死させて魂を奪おうとしたり、嵐を呼んだり船を難破させたり子供を連れ去ったりと、わりあい凶悪なFairyに分類されます。一方でロマンスに発展する場合もありますが、大抵の物語は破局を迎えることになったようです。(人魚姫もこの点では伝統的Fairytaleを踏襲しています)この話のように、ロマンスでもなく純粋な人間と人魚の友情話は希有な例と言えるでしょう。

 日本では八百比丘尼(はっぴゃくびくに/やおびくに)の話が有名ですが、これは人魚の肉を食べた人間の話で、人魚そのものにはとりたてて関心が払われていません。人魚の肉を食べると不老長寿が得られるという話は西洋にはない特徴です。

 最終章の漁師の死と埋葬はRinglet版の創作で、原版では漁師は人魚から得た力を良いことに使い、櫛を子々孫々伝えていったと結ばれています。「舟に棺をおいて海に流す」行為は水葬の一種と考えられますが、通常、こういった方法が取られることは無いと思います。理由は幾つかありますが、キリスト教圏では土葬が一般的なこと、跡継ぎがいない場合は別として舟は財産であることなどがあげられるでしょう。



 人魚エルセ。あまりデザインの幅がないのでテンプレ気味に。変な教育的補正をかけずに裸にしてもらいました。挿絵では髪がミディアムに変更されています。(TINA)

 人魚エルセです。貝ブラは無しの方向になりました。丸出しです。挿絵ではふわふわロングな髪型に変更。描いててぬーべーの速魚を思い出してました…。(かずしま)