木イチゴの王さま 採集地:フィンランド
「アンドルー・ラング世界童話集 第十二巻 ふじいろの童話集 "木イチゴの虫"」より
 文学シリーズ。

 作者はサカリス・トペリウス(Zachris Topelius,1818-1898)というフィンランドの知識人で、自身の知識や経験を下敷きに書き下ろした子供向けの創作です。採集したものではなく初めから読ませるために書いたものなので、かなり小説的です。Ringlet版ではストーリーは原版通りですが、小説形式の細かい描写をカットして短くして、出来る限り他のFairytaleと形をあわせてあります。

 小説形式と民話の一般的な相違点として、以下のような点が挙げられるでしょう。

 ・主要キャラクタ以外にも名前が付いている。

 メインを張るのは末のふたりですが、長女や長男にも名前が与えられています。民話の場合は主人公以外たいてい無名で、王様や王妃様、息子や娘という形で呼ばれることが殆どです。(※原版では一番上の姉だけ名前が無かったので(英語版ではBig sister、日本語訳は単に「おねえさん」)追加しています)

 ・繰り返し失敗したり、主人公が成長する話ではない。

 民話形式を取れば長女や次女が失敗した後に末っ子が成功する話だったり、末っ子が栄光を掴み取るようなストーリーが展開されるかもしれませんが、この話ではそういったことはなく、みんながみんなそれぞれの役割を果たしました、とだけ結ばれています。

 教訓的なことが強く語られるわけでもなく、キリスト宗教的な要素もこれといって見当たらない本作品は純粋に子供に読んでもらうために書かれた作品といえると思います。

 歴史的観点から見ると、作中で二人の妹たちは「コーヒーが飲みたい」と言っています。北欧にコーヒーが伝播したのは1650年以降であり、庶民が気軽に口に出来るようになったのはさらに後の話です。作者が生きていた時代には気軽に飲めるようになっていたのでしょう。

 木イチゴの王は年齢が自らを「1000歳以上で、100年に一度、1日虫に姿を変えて暮らさなければならない」と述べています。仮に1000歳とすると10回かそこらしか経験がないのは、正直少なすぎるというか楽なんじゃないかなと思いますが、いかがでしょうか。


 四人姉弟の次女と三女。夏服です。フィンランドは夏場でも20℃程度までしか気温が上がらないので、これくらい着込んでないといけないんですね。デザインしてから気がついたのですが、本編に登場するポケットが見えないんですよね…。エプロンの下にあるという設定でお願いします。;ー;(TINA)

 愛ちゃんをちゃんとデザインから描いたのは初めてでした。Ringlet本編で一番好きなキャラなので非常に楽しかった…が、髪型が難しかったです。愛ちゃんの髪の跳ね方をAzさんからレクチャーしてもらったので次回からはちゃんと描けると思います。フィンランドの民族衣装はふんわりとしてとても可愛らしいです。大きく分けて、腰を結ぶタイプとエプロンのようにストンと着るタイプの2タイプほどあるようだったので、愛ちゃんとエルセで別々のタイプにしてみました。個人的にはエルセの着ているエプロンタイプが好きです。子供服みたいでカワイイ…。(かずしま)