| バルフライアのニトン | 採集地:スイス |
| 「スイス民話集成 "クードル村のニトン"」より 「スイス民話集成 "トゲリが鎌を打つ"」より 「スイス民話集成 "トゲリの出入り口"」より 「スイス民話集成 "仕立屋と宝物"」より |
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リア充大爆発しろシリーズ。
ニトンは"ずるがしこい"を意味する方言だそうです。家の壁に空いている小さな穴から出入りする妖精(?)で、夜中にやってきては就寝中の人間の上に乗りかかってすごい力で胸を押さえたり肩を押さえつけて動けないようにします。姿は見えないのですが感覚的には大きな猫のような感じらしく、化け猫と言われていたりもします。対処法はニトンが攻撃(?)を始めると同時に穴を塞いでしまうことで、たとえドアや窓が開いていたとしてもニトンは出ていくことが出来なくなってしまいます。さて、首尾良くニトンを封じて朝を迎えると、裸の女性が見つかるはずです。ニトンの正体はおおかたの場合若い女性で、可愛らしく性格もいいそうで(それならどうしてあんなことをするんだという気もしますが)そのまま男性と結婚してしばらく幸せに暮らします。(※)けれど、エンディングには決まって塞いだ穴をなにかの拍子に空けてしまい、居なくなってしまいます。典型的な異類婚姻(※引用した本はドイツ語で"Mahrtenehe")話で、その例に漏れず破局に終わるストーリーです。 後半部分は仕立屋と宝物より。スイスはほとんどが山地なので、秘密の洞窟に関するFairytaleが多く残されているように思えます。ワニ→ひきがえる→ヤギと変化するのは典型的なRule of threeです。ひきがえるとヤギは西洋で忌み嫌われていたので解るのですが、スイスとはあまり縁がなさそうなワニは少し不可解です。(この変身は原文ママ)ちなみに、原版では主人公はヤギにひるんで失敗し、命を落としてしまいます。今も宝は秘密の洞窟に眠っているはずなので、スイスに行く予定のある方は探してみるといいかもしれません。 Ringlet版では二つの物語をつなぐためにニトン編にもRule of threeを導入しています。追跡も常套手段の一つを使用しました。後半部分は、主にニトンが悪戯をする動機付けのために追加されています。 ※「クードル村のニトン」では、祖母がニトンに悩まされたという話が出てきます。ということは襲う相手は男女の区別がないのか、あるいは男性(?)のニトンもいるのかもしれません。「スイス民話集成」の解説ではニトンは夢魔の一種だと述べられています。また、スウェーデンの民話に「マーラと結婚した男」というよく似た話が載っています。こちらでは完全に夢魔と書かれており、逃げ出してしまうくだりまでは同じものの、何年か経って戻ってきたとあり、幸せな結末になっています。 |
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![]() 何を考えてるのかいまいちよく解らない妖精ニトン。「服を身につけていなかった」とあるので寒くないのかなと思いつつそのままに。キャラデザの鈴は日本風だったので、CGでは西洋風(カウベルタイプ)に変更してもらいました。(TINA) 猫のような性格のニトンちゃんですね。身に着けているものが鈴だけというけしからんキャラクター。髪の毛をもうちょっと綺麗なウェーブにすればよかったなぁ。(かずしま) |