| ロニーと幸運の猫 | 採集地:イギリス(イングランド)、イタリア |
| 「ヤラリー・ブラウン イギリス民話集 ""」より 「ネコ 猫 ねこ 世界中のネコの昔ばなし "ディック・ウィティントンと猫"」より 「アンドルー・ラング世界童話集 第一巻 あおいろの童話集 "ウィッティントンのお話"」より 「世界むかし話3 南欧 ネコのしっぽ "猫のいない島"」より |
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リア充大爆発しろシリーズ。 猫シリーズ。 どの邦訳もそう大差ありませんが、アンドルー・ラング版をベースにしてあります。 英国でもっとも有名なFairytaleのひとつで"The History of Whittington"(ウィッティントン卿の物語)、あるいは"Dick Whittington and His Cat"(ディック・ウィッティントンと猫)というタイトルで知られています。猫を輸出して大儲け! という話は十二世紀頃に成立したそうですが、ここにリチャード・ウィッティントン卿(1354–1423)という実在の人物が重なり、現在知られているストーリーになったようです。このリチャードさんは「卿(Sir)」の称号のとおり裕福な家系の生まれで、物語の主人公とはだいぶ境遇が違いました。 どちらかといえば実在のウィッティントン卿を伝説化することを重視したストーリーで、妖精や魔法と言った要素は皆無な代わりにサクセスストーリー(立身出世と富の蓄積、結婚)の要素が詰まった話といえるでしょう。Ringlet版では実際のウィッティントン卿に関する部分をかなりカットしてあります。 主なカット部分はふたつで、ひとつ目は屋敷を逃げ出した時に、彼を思い留めさせた「ウィッティントンの石」と呼ばれる部分です。これは万聖節(旧暦の11月1日)の朝、屋敷を逃げ出したウィッティントンはある石の上に腰を下ろして教会の鐘が鳴るのを聞いていたところ、その鐘の音が"Turn again, Whittington, Thrice Lord Mayor of London!"(引き返しなさい、ウィッティントン、三度ロンドンの長を務めるものよ!)と言っているように聞こえたので戻ろうと思った、というストーリーです。この石はロンドンの北、ハイゲート(Highgate)に今も残っているそうです。 猫がいない地域に猫を連れていって喜ばれたという点に目を向けてみると、このタイプはヨーロッパを中心によく見られるモチーフで、バリエーションも豊かです。原版では猫を乗せた船の行き先はアフリカとなっていますが、Ringlet版では特に明記していません。しかし、挿絵の王妃様(先輩)の装束はアフリカ〜中近東のイスラム様式にしてもらいました。 落ち部分はイタリア版の「猫のいない島」というストーリーで、単体では下記のような話になっています。Ringlet版でもほぼそのままを採用しました。 一人の商人がネズミの害に悩んでいる島に猫のつがいを持って行き、莫大な謝礼を受け取る。別の商人がこの話を聞きつけ、猫にそれだけの謝礼を支払うほど気前がよい島の人々なら、もっと値打ちのあるものを持っていけばどれだけのお返しが期待できるだろうかと考え、金銀財宝を積んだ船を島へ走らす。商人から物珍しい品の数々を受け取った島の住人たちはどんな返礼で答えればいいかと議論した後、島で産まれた子猫を商人に渡す、というものです。 他に変わった類話として、「チェコスロバキアの民話」には猫がいない国に猫を売りに行くところまでは同じですが、王様は猫がねずみをすべて退治してしまったあと、一体何を食べさせればいいのかと悩む話があります。悩んだ末に、売りに来た人のところへ使いを送りますが、この使いは外国語に疎かったため主人公の「Was?(なに? という意味のドイツ語)」を「Vas(あなたたちを。 という意味のチェコ語)」と聞き間違え、猫の食べ物はVas(あなたがた、つまり人間)であると勘違いして大混乱に陥る、という落ちになっています。 ペルシア版では「エクバルの猫」というタイトルで、イランのニーシャープールからインドのカシミールへ行くストーリーになっています。この話では猫を手放した主人公が「ああ、なんだっておれはあいつを手放しちまったんだろう! どんな大金をもあっても、さみしいのはいやだ!」と後悔するシーンがあります。 |
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![]() 大英帝国のお嬢様エルセ。もっとも、Fairytaleの想定年代である西暦1300年当時のイギリスはまだ弱小国家で、Glorianaと呼ばれたエリザベス1世(在位1558-1603)の時代はもう少し先のお話です。時代を先取りした感じの衣装で、貿易で富を築いた大商人の娘らしい上品なデザインになりました。胸元のフリルや手間のかかる縦ロールが象徴的ですね。(TINA)
お嬢様なので服装も丁寧な刺繍・レースをところどころに取り入れてみました。肩が出ている少しセクシーなデザインなんですけど、まだお子様なので色気はあまり感じられないですね。今回の髪型は可愛さを優先して割と現代風な縦ロールなんですけど、次はモーツァルト的な史実に忠実な縦ロールにしてみようかな…似合うかな。ともかく「大事に大事に育てられたお嬢さん」な雰囲気を大事にしました。(かずしま)
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![]() 猫の居ない国の王妃の久紀。デザインはアラビア様式です。金をメインにしたアクセサリとシルクロードを通じてやってきたシルク、それに様々な文様を施した王族にふさわしい服装を描いてもらいました。カラーリング的にとてもカラフルで、手間のかかるデザインです。かずしまさん、ごめんね。(TINA)
過去最高に手間のかかっている服装だと思います。さすが王妃様! 王族なだけあって細かい装飾・高価なアクセサリーをちりばめました。とにかく資料探しと模様を描くのに骨が折れました。。。楽しかったけども。アラビアーンなドレスはとっても魅力的に思います。
模様のそれぞれに由来があったりしてロマンを感じますねー。黒髪の先輩にはエキゾチックな服がバッチリ似合っているのではないでしょうか。(かずしま)
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