賢明なスヴェア 採集地:ノルウェー
「北欧のむかし話 "山のグズさん"」より
 リア充大爆発しろシリーズ。

 積み上げ話に頓知的な解釈を加えたFairytaleです。
 イギリスの「ヘッドリー・コウ」という妖精の物語がよく似た展開で、明確な確証はないものの、関係がないとは思えません。本ストーリーでは物語の種を蒔く少し頭の弱い旦那と、夫の行動をなんでも好意的に解釈する賢い(?)妻という構図ですが、ヘッドリー・コウでは悪戯好きで変身能力を持つヘッドリー・コウという妖精を(それとは知らずに)拾った女性が、次々に変身していく妖精の姿を見て、その都度変身したものを好意的に解釈していくというストーリーになっています。(オチは正体を現したヘッドリー・コウに対して、女性が「ヘッドリー・コウと遊べたなんて、なんて私は運がいいんだろう!」と言うもの)

 馬→豚→山羊→羊→鵞鳥→鶏→小銭と交換するものが(価値観は多少前後するでしょうが)グレードダウンしていく様と、逆に上がっていく評価というよく出来た構図のように見えますが、実は一番大事なのは旦那だったというリア充大爆発しろなストーリーなのでした。多分そういう話。

 なお、インドの民話では水牛から雄鳥にグレードダウンしていく同じタイプのストーリーがあり、こちらは最後に隣人ではなく雄鶏自体が素晴らしい価値を持つことで金銭的な損失を穴埋めしています。

 亜種として、リトアニアの民話では「銀の鍵」という話で神様からもらった銀の鍵を次々と価値の低いものと交換していき、最終的にずだ袋を持って帰ったおじいさんがおばあさんに殴り殺されるという衝撃的な(ある意味当然といえるかもしれませんが)話があります。(この話には交換に関する注釈はなく、単なる積み上げ話になっています)



 ある種の怖ささえ感じる良妻スヴェア。最大のポイントはこれだけ慕ってくれるというところなんでしょうが…。(TINA)

 新妻スヴェアちゃん。服装は実に一般庶民なイメージで描きました。スヴェアちゃんは何をしても怒らなそう。この子を嫁にもらったらダメ人間になりそうだ。(かずしま)