| 天使騎士団 | 採集地:スイス |
| 「スイス民話集成 "女性の策略"」より | |
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第二話と同じく由来譚と呼ばれるFairytaleで、現実世界ではスイスのフルーティゲン(Frutigen)地方、ミューレネン(Mülenen)からライヒェンバッハ・イム・カンダータール(Reichenbach im Kandertal
)一帯、ファルチェン(Faltschen)と呼ばれる場所(※Google
Mapリンク)に関するものです。
地名の由来にはなんらかの話がついてくることが良くあります。原版では女性たちが待ち受けた場所は天使の砦(アンゲルブルク、Burgは「囲んで守る場所」という意味から転じて「城」、「砦」)、女性たちの村はファルチェン(偽りの女性たち)という名前が付けられたと言うことになっています。この戦いが本当にあったのかどうかは解りませんが、「天使や悪魔やその他人外に扮して敵を恐怖に陥れた」ことは、宗教(信仰)や迷信が絶大な威力を持っていた時代、嵌れば一気に形勢を逆転できたことは想像できます。 原版は登場人物の紹介や会話などはいっさい無く、淡々と事実が述べられているだけです。従って、Ringlet版は物語としての細部をかなり創作、加筆しました。服を縫うシーンや、敵軍に槍を投げ込んだシーンは全て創作部分です。 中世ヨーロッパの枠物語「七賢人物語」では、同じような方法で敵を撃退したエピソードが載っています。
"賢人は奇妙な上着を身にまとい、その上着に孔雀の羽をつけ、小さな鈴をいくつもぶら下げ、さらにいろいろな鳥の様々な羽とリスの尾をいくつもつけ、よく磨かれた抜き身の剣を二振り持って、王とその全軍からよく見えるようにと、町の一番高い塔に登りました。そして、あちらこちらと動き回り、二振りの剣を口にくわえると、剣が不思議な輝きを放ったのです。 妃の語る第六の物語「執事・1+ローマ」より |
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